看護師が転職を考える時 ~ 看護師の転職動機を解説 ~

看護師の転職動機・動向について

看護師の転職理由として、スキルアップを目指す場合と、夜勤などの激務から解放されたいと考える場合が挙げられます。

しかし、これらの動機のうち、どちらが転職件数として多いかを示す具体的な統計データはほとんど見当たりません。

一般的には、夜勤の負担や生活リズムの乱れ、体調面の不安から夜勤なしの職場を求める看護師が多いとされています。

一方で、専門資格の取得やキャリアアップを目指して転職を考える看護師も少なくありません。

最終的な転職理由は個々の状況や価値観によって異なるため、どちらが多いかを一概に断定することは難しいと言えます。

スキルアップを目指す看護師と、夜勤から解放されたい看護師の特徴

  • スキルアップを目指す看護師:
    • 比較的若い看護師が多い。
    • より高度な知識・技術を身につけるために、急性期病院や専門性の高い医療機関へ転職する傾向がある。
    • 認定看護師や専門看護師の資格取得を視野に入れている人もいる。
  • 夜勤や激務から解放されたい看護師:
    • 結婚・出産を機に子育てと両立できる職場を求める人が多い。
    • 夜勤のある病院では家族との時間を確保しづらくなるため、日勤のみの職場を選ぶ傾向がある。
    • 40代・50代の中堅・ベテラン層は、体力的に夜勤が厳しくなり、比較的落ち着いた職場への転職を検討することが多い。

転職動機の傾向

  • 転職全体の件数で考えると、「夜勤や激務を避けるための転職」 のほうが多い。
  • 看護師の平均年齢は40歳前後であり、ライフステージの変化に伴い働き方を見直す人が多い。
  • スキルアップを目指す転職は、「意欲的な層にとって重要な理由だが、転職件数としてはそこまで多くない」 という位置づけになる。

スキルアップを目指す看護師の転職先と身につくスキル

スキルアップを目指して転職する看護師は、自分の専門性を高められる環境を選ぶ傾向があります。

以下に、代表的な転職先と、そこで身につくスキル・経験について具体的に紹介します。

① 急性期病院(大学病院・総合病院)

  • 身につくスキル:
    • 高度な医療処置(人工呼吸器管理、透析、術後管理 など)
    • 緊急対応力(救急搬送、ICU・HCU対応、急変時のアセスメント など)
    • 多職種連携スキル(医師・薬剤師・理学療法士などとの連携)
    • 専門性の高い看護スキル(心臓血管外科、脳神経外科、消化器外科 など)
  • 具体例:
    • ICU(集中治療室): 人工呼吸器や血液透析の管理、循環動態のモニタリング技術が身につく。
    • 救急外来(ER): トリアージ(患者の重症度判断)や急変対応力が向上する。
    • 手術室: 麻酔管理や器械出し・外回り業務のスキルが習得できる。

② 専門病院(がんセンター、心臓病センターなど)

  • 身につくスキル:
    • 特定疾患に特化した看護スキル(がん看護、循環器疾患、糖尿病管理 など)
    • 化学療法・放射線療法の知識(抗がん剤投与管理、副作用の看護 など)
    • エビデンスに基づく看護(EBN)
    • 患者教育スキル(病気のセルフマネジメント指導)
  • 具体例:
    • がんセンター: 化学療法・放射線治療の管理、終末期ケアの知識が深まる。
    • 心臓病センター: 心臓カテーテル治療や心不全管理の専門的スキルが得られる。

夜勤や急性期病院などのストレスから解放されたい看護師の転職先

スキルアップよりも 「夜勤なし」「身体的・精神的に負担の少ない環境」 を優先して転職する看護師は、比較的落ち着いた職場を選ぶ傾向があります。具体的な転職先と、それぞれの特徴を紹介します。

① クリニック(診療所)

  • 主な転職者: 夜勤なしの職場を求める人、比較的落ち着いた環境で働きたい人、外来業務を希望する人
  • 特徴・メリット:
    • 日勤のみ・夜勤なし(基本的に9時~18時)
    • 患者の状態が安定している(外来診療中心)
    • 医師の診療補助がメインで、責任の負担が少ない
    • 比較的休日が取りやすい(土日祝休みのクリニックも多い)
  • 具体例:
    • 内科・小児科クリニック: ルーチンワークが多く、子どもがいる看護師にも人気
    • 美容クリニック: 美容医療に興味がある人、接客業が得意な人に向いている

② 健診センター

  • 主な転職者: ルーチンワークを希望する人、体力的に負担の少ない職場を求める人、健康管理や予防医療に興味がある人
  • 特徴・メリット:
    • 夜勤なし、定時勤務(8時~17時など)
    • 採血・血圧測定・問診が主な業務(命に関わる処置はほぼなし)
    • 健康な人が対象なので精神的負担が少ない
    • デスクワークも多く、落ち着いた環境
  • 具体例:
    • 企業の健康診断センター: 残業が少なく、安定した働き方ができる
    • 市町村の健診業務: 生活習慣病予防などの啓発活動にも関われる

③ 介護施設(特養・有料老人ホーム・デイサービス)

  • 主な転職者: 急性期の慌ただしさから離れたい人、夜勤のない職場を探している人、高齢者看護に興味がある人
  • 特徴・メリット:
    • 急変が少なく、比較的ゆったりした環境
    • 医療行為が少なく、看護より生活支援がメイン
    • 夜勤なしの施設も多く、ワークライフバランスが取りやすい
    • 高齢者とのコミュニケーションが好きな人に向いている
  • 具体例:
    • デイサービス: 医療行為がほぼなく、日勤のみで身体的負担が少ない
    • 有料老人ホーム: 利用者の健康管理がメインで、落ち着いた職場環境

④ 訪問看護

  • 主な転職者: 病院よりもゆったり働きたい人、患者一人ひとりとじっくり関わりたい人、日勤のみで働きたい人
  • 特徴・メリット:
    • 日勤のみが基本(夜勤なしの訪問看護ステーションも多い)
    • 一人の患者とじっくり向き合える(病院より時間に余裕あり)
    • 在宅でのケアが中心(急性期ほどの慌ただしさがない)
    • ある程度の医療処置は必要だが、慢性疾患管理が多い

⑤ 企業看護師(産業看護師)

  • 主な転職者: 病院以外で働きたい人、夜勤なしで安定した環境を求める人、企業の健康管理に興味がある人
  • 特徴・メリット:
    • 企業勤務なので土日祝休み・夜勤なし・残業少なめ
    • 従業員の健康管理・メンタルヘルス対応が中心
    • デスクワークが多く、体力的な負担が少ない
    • 看護の経験を活かしながら安定した職場で働ける

このように、看護師の転職理由はライフステージや働き方の価値観によって大きく異なります。転職を検討する際には、自分が何を優先したいのかを明確にし、それに合った職場を選ぶことが大切ですね。